土砂崩れの兆候「土のにおいがする」は本当なのか?

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台風やゲリラ豪雨・・・
突然起こる強烈な雨というのは悩ましいものです。

通勤や通学などの妨げとなるだけでなく、
時には家の裏の斜面が崩れて、死亡事故につながるケースさえ、報じられています。

 

「土砂崩れの直前には土のにおいがする」
なんてお話を聞いたことがある方、体験された方などがいらっしゃるかもしれません。

また土砂崩れに限らず、
「雨が降ると土のにおいがする」と感じられる方もいらっしゃるでしょう。

この「土のにおい」について、今回は少しお話をしたいと思います。

そもそも「土のにおい」というのは、
ゲオスミンとよばれる化学物質とされています。

 

土の中には、様々な生き物が存在しています。

その中に、目には見えない程小さな細菌たちも存在しているわけですが、
このゲオスミンというのは、そんな土壌細菌が作り出す成分の一つです。

 

土砂崩れが間近で起きた経験がなくても、
雨が降った後の公園や山で、「独特な土臭さ」が出たりする時があります。
その土臭く感じるにおい成分が、ゲオスミンです。

 

雨が降った後は、土から蒸発する水分と一緒にゲオスミンが土中から放出されます。
また、野菜や花を育てようと土を混ぜたりすると、「かび臭い」ような独特な香りを感じることがありますが、あれにもゲオスミンが含まれます。

 

ヒトという動物は、このゲオスミンに対して感受性の高い生物であるとされる説があります。
つまり、私たちヒトは、「土のにおい」に敏感な生き物なのですね。

 

土砂崩れが発生する前は、その土に大量の水が含まれた状態です。
そうすると、その水により土がかき混ぜられていたり、
水の蒸発の際に一緒にゲオスミンが放出されて、
私たちは「土のにおい」として感知するわけです。

 
「現象には必ず理由がある」
土砂崩れの前に土臭さを感じるという現象にも理由があると言えます。

 

ただし、
軽い雨が降ってもゲオスミンの放出はあるわけなので、
必ずしも「土のにおいがした」=「土砂崩れが起きる」とは
結びつきません。

 
いくらヒトが感受性の高い生物とはいえ、どれだけ感じるかは個人差もあるはずです。

感じ方は人それぞれです。