標本の種類と活用

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今回は標本についてのご紹介です。

標本は、研究や教育などに活用することを目的にして、死んだ生物や岩石などのものを健全な状態で保存したものをいいます。

 

標本と聞くと、どんな物を想像するでしょうか。

標本箱に入った昆虫標本・・・、
ホルマリン漬けにされた標本・・・、

 

人によって想像する標本イメージはいろいろかと思いますが、実際、標本にはいろいろな種類があります。

 

標本の代表的な種類は、以下のようなものです。

■ 乾燥標本(かんそうひょうほん)

■ 液浸標本(えきしんひょうほん)

■ 骨格標本(こっかくひょうほん)

■ 剥製(はくせい)

 

これ以外にも、
「顕微鏡でみることを目的としたプレパラート標本」や、
「体内の水分をシリコンに置換して触れるようにしたプラスティネーション標本」など、
多様な標本があります。

 

■ 乾燥標本

その名前の通り、乾燥させて作った標本です。
昆虫標本の多くは、乾燥させて作ったものです。

体の表面が柔らかい生き物は、乾燥させると「サカナの干物」のようにミイラ状態になってしまいますが、外骨格をもつ昆虫類は体表面がしっかりしているので、形が崩れにくく、ほぼそのままで作れることが多いです。

そのため、昆虫類などの体表面が固くしっかりした生き物の標本に向いています。

 

■ 液浸標本

ホルマリンやエタノールなどに浸して保存する標本です。
液体に浸すので、体表面が柔らかくても、健全な形で残すことができる標本です。
薬品は「ホルマリン」のイメージが多いですが、「消毒用エタノール」でも作ることが可能です。

 
新しい家に住み始めたときに発症する病気「シックハウス症候群」というのが話題になったことがありましたが、
あの原因は、接着剤などに含まれる「ホルムアルデヒド」という物質と言われていました。

「ホルマリン」は、そのホルムアルデヒドが水に溶けたものです。
つまり、人体にとって有害な物質でもあります。

しかし、値段が比較的安価で固定能力が高いため、標本を大量に収蔵し、専門的な用途に用いることが多い博物館などの場合では、ホルマリンが重宝される傾向があるようです。

とはいえ、ホルマリンは薬品としては薬局で簡単に手に入るものではないですし、脱色作用が強い薬品です。
目的にもよりますが、一般的に教育などを目的として標本を作製する方は、安全性の高い「エタノール」を使用する方が良いでしょう。

 

■ 骨格標本

骨格標本は、その名前の通り動物の肉を除去して骨を残した標本です。
体のつくり(骨格)を観察するうえで役立つため、分類や形態を学ぶ世界で使われたり、アート(飾り)として活用されたりもしています。

 

肉を取る「除肉作業」が大変ですが、私たちが普段料理に使う「手羽先」や「豚足」などのスーパーで手に入るものでも、多くの学びを得ることができます。

 

■ 剥製

剥製には、
見せるための剥製「本剥製」と
研究や保管のための「仮剥製」というのに分けることができます。

 

昔ながらの旅館にあるようなイメージの、飾りとして作成されたリスやクマなどの剥製。あれが「本剥製」です。
博物館での展示だけでなく、あのように装飾品としても使われるというのも一つの目的なので、まるで生きているかのように姿を再現して作成します。

一方、「仮剥製」は内臓をとって皮をなめし、詰め物をしただけの剥製です。

そのため、見た目は本当に「死体」という感じにるので、あくまでも装飾品や展示などではなく、研究用や「本剥製」を作る前の保管などを主な目的として作成する標本です。

 
 
 

標本は、研究や教育など、私たちに多くの学びを与えてくれるものです。
ただ、標本にするときに殺したか、死んでいたものを使ったかに関係なく、あくまでも生物の命を活用させてもらっているものであります。

食べ物を私たちのエネルギーにしているように、
標本は私たちの学びに活かしています。

なので、きちんとした目的をもって、
必要以上に作らない
作るときはしっかり作る
こうした意識も大切なことだと、私は考えています。