ミツバチが見る色の世界
生物の色認識についての話題は、しばしば取りざたされます。
今回はそんな色認識について、ミツバチに焦点を当てたお話をご紹介いたします。
そもそも、光には波長があります。
実際の海の波のように、波の高さを目で直接見ることはできませんが、
「どのくらいの波の高さなのかな…?」というのを、私たちは色の違いとして認識することができます。
この波長の違いによって、
【 赤外線 ■ 赤 ■ 橙 ■ 黄 ■ 緑 ■ 青 ■ 藍 ■ 紫 ■ 紫外線 】
のように、色として分かれているのです。
そして、こんな波長の違いによっては、私たちが認識できないものがあります。
それが、赤外線や紫外線です。
ヒトという動物が認識できる色は
ここで言う【赤~紫】まで。
そのため、赤よりも外の色を『赤外線』
紫よりも外の色を『紫外線』と表すわけです。
認識できるかできないかは、あくまでも受容する側の問題なので、
赤外線が受容できる動物は赤外線を見ることができますし、
紫外線を受容できる動物は紫外線を見ることができることになります。
ミツバチの場合は、赤色は赤色として見ることができませんが、
紫外線は見ることができるとされています。
ミツバチはその点で言うと、
ヒトよりも認識できる波長がずれていることになり、
【橙~紫外線】を見ていることになります。
とはいえ、ヒトほど正確には認識できていないともされ、
橙も黄色も黄緑も『黄色』と認識。
青も紫も『青』っぽく認識しているとも言われています。
ヒトの色覚がこう
【 赤外線 ■ 赤 ■ 橙 ■ 黄 ■ 緑 ■ 青 ■ 藍 ■ 紫 ■ 紫外線 】
だとするならば
ミツバチの色覚は
【 赤外線 ■ 赤 ■ 橙 ■ 黄 ■ 緑 ■ 青 ■ 藍 ■ 紫 ■ 紫外線 】
というところでしょうか。
このミツバチの色覚を発見したのは、
オーストリア人の『カール・フォン・フリッシュ(1886~1982)』という動物学者。
フリッシュは、ミツバチの行動について研究を深めた人物で、
ミツバチの「8の字ダンス」を解明した人物でもあります。
ちなみに、フリッシュはノーベル医学生理学賞を1973年に受賞。
「動物行動学」という学問を進展させたとされる人物です。
ミツバチは、この紫外線を認識することにより、
フリッシュの発見した『8の字ダンス』で、
仲間にエサ場である花の位置を的確に伝えることができるようになっているのです。