【暮らしの中の生物学】ヒトにはなぜ右利きが多いのか?
あなたは右利きですか?左利きですか?
あなたの周りの友人を考えてみても、
きっと右利きの方が多いと思います。
生物の左右対称な器官の
どちらか一方が優れている現象のことを
専門用語で「ラテラリィ」といいますが、
右利きのヒトってたしかに多いですよね。
いったいなぜ、右利きが多いのでしょう?
諸説ありますが、過去に行われた生物学実験で、
それを説明しているものがあるので、今回はそれをご紹介します。
昔、アメリカの実験でこんな実験がありました。
ボノボというヒトに近いサル”類人猿”がいるのですが、
このサルを普通に観察していると、多くのボノボは両利き。
右も左も同じように使ったそうです。
しかし、この実験では、ボノボに言語のトレーニングを行ったところ、
徐々に右利きへ変化していくのが観察されました。
この理由としては、”言語を司る脳領域が左脳であることが影響しているのだろう”と考えられています。
脳は、左半身を右脳、右半身を左脳が管理しているのは、一般的にもよく知られていますが、
1.「言語を使う」 → 2.「左脳が発達する」 → 3.「右側が器用になる」
という一連の流れの結果により、右利き化したものと考えられます。
よく、「小さい子は両利きだけど、成長と共に右利きになる」なんて話もありますが、
これも言語野の発達と同時に、徐々に右利き化に変化していく現象が生まれているものと考えられます。
私たちは言語でコミュニケーションをとる、ヒトという動物。
現象には必ず理由があるものです。